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リターナブル梱包材の新規開発により廃棄物ゼロとコストダウンを両立
日本全国に約200店舗を展開する大手小売業D社では、全店舗で合計1万5000台にも及ぶPOSターミナルの一斉入れ替えを計画。これにあたり、従来、POSターミナルの梱包材として使用していた段ボール廃棄物を削減することを希望していた。これに対し、NECロジスティクスでは、段ボール梱包材に代わり、リターナブル梱包材の採用を提案。その結果、約115tもの段ボール廃棄物をゼロ化するとともに、作業時間の大幅な短縮にも成功した。

D社は、北は北海度から西は岡山まで、全国に約200の店舗を有する、日本最大級の小売業である。このD社で、全店舗で用いられている1万5000台に及ぶPOSターミナルを、一斉に新型に切り替えることが決定。そのリプレイスメントに係わる物流業務をNECロジスティクスが受注し、最適な包装や輸送の手段を検討することとなった。
D社からNECロジスティクスに強く要望があったのは、「廃棄物の量を減らす、あるいは無くす」ことだった。従来、D社ではPOSターミナルを全国の店舗へと輸送する際、段ボール包装材を使用しており、大量の廃棄物が出ることに頭を悩ませていた。環境経営に力を入れるD社にとってはその解消は急務の課題であったのである。もちろん、包装材を回収し、それを分別して廃棄することに、多大な時間と手間・コストがかかることも廃棄物削減を目指す要因になっていた。
一方で、プロジェクトを円滑に進める上で、POSターミナルを納入する現場での作業時間が短いことも大きな課題となった。その理由を、NECロジスティクス 包装技術センター長の古澤久美生はこう説明する。
「POSターミナルの入れ替え作業は、閉店後の夜10時以降に開始し、翌朝6時には完了させなくてはなりません。ところがD社様の大規模店では300台ものPOSターミナルを設置している。となると、段ボールに緩衝材とともに梱包されてきた新しいPOSターミナルを開梱し、続いて回収した旧型機をまた段ボールに入れ、緩衝材を詰めて梱包する、などということをやっていたら、とても間に合わないのです」
廃棄物ゼロを目指すこと、そして低コストで梱包作業時間の短縮を可能にすること。この2点を実現できる新しい梱包材を設計開発することが、NECロジスティクスに課せられたテーマとなった。

NECロジスティクス ネットワーク本部
包装ソリューション部 主任
守屋弥一
このテーマに応えるために、NECロジスティクスの包装技術センターが提案したのが、段ボールに代わって、回収再利用が可能なリターナブル梱包材を開発することだった。
「リターナブル梱包材を使えば当然、段ボール廃棄物はゼロになる。また、段ボールは一度使えば廃棄するしかないが、リターナブル梱包材は繰り返し使えます。POSターミナルの生産の進捗に合わせ、全国の店舗に回して使っていくことで、コスト削減効果も大きいと判断しました」と古澤は語る。
当初は、1台あたりに数台のPOSターミナルを積める、特製のカーゴを開発することも検討。ただし、個別包装に比べて、トラックへの積載効率や保管効率が低下することから採用を見送り、プラスチック製のリターナブルボックスの開発を進めることとなった。
リターナブルボックス設計にあたっては、まず、納入先での開梱・再梱包の作業時間を短縮するために、できる限り梱包仕様を簡素化することが求められた。ただし、だからといって、POSターミナルの安全が保てないというのでは本末転倒だ。また、強度についても、落下条件を厳しくし、設計レベルを上げれば上げるほどコストが上昇することになる。「いかにバランスの取れた設計条件を設定するかが最大のポイントとなりました」と包装技術センター主任の守屋弥一は言う。
今回のプロジェクトにおいては、NECロジスティクスの自社便を使うことが決まっていたため、荷物が手荒に扱われる危険がなかった。そのため開発陣は、梱包仕様については必要最小限で十分と判断。ボックスの中ではPOSターミナルをマジックテープで止めるだけとし、誰でも簡単かつ素早く開梱・再梱包ができるようにした。また、強度設計についても、底面落下のみを考えたシンプルな仕様として、様々な角度から落とした場合を考えた設計に比べ、大幅にコストを低減した。
「ただし、こうした設計にすることは、D社様はもちろん、POSターミナルの製造メーカーにも事前に説明し、納得してもらいました。また、最終的な仕様の決定に至るまでには、包装落下試験や振動試験のほか、約1500kmにも渡る輸送試験も実施し、問題が起こらないことを徹底的に確認しました」(守屋)
設計面での工夫はこれだけではない。作業性をさらに高めるため、ボックスの上からPOSターミナルの出し入れをするのではなく、底面部分にPOSターミナルを固定し、上からフタを被せる分割式を採用。さらに回収した旧型機を廃棄工場に運び、最終的に空になったボックスのみを生産工場に戻す際の積載効率を上げるために、ボックスを折りたたんで40セットを1台のパレットに積載できるようにもした。
2007年から、POSターミナルの生産の進捗に合わせて順次、全国の店舗での入れ替えをスタートした。リターナブルボックス採用の効果は期待通り大きかった。
従来の段ボール梱包材の場合、POSターミナル1つあたり、7.7kgもの廃棄物が発生していた。これがゼロに。1万5000個分だと、総計115tにも及ぶ廃棄物をなくすことができたわけだ。また、段ボール梱包材の回収・分別・廃棄にかかっていた手間やコストも削減でき、さらに段ボール梱包材を焼却処分しなくていいことから、187tのCO2削減にもつながった。
もう1つの課題であった作業時間短縮についても満足いく結果が得られた。梱包仕様の簡素化により、段ボール梱包に比べ、POSターミナル1つあたり100秒の作業時間短縮に成功。50台のPOSターミナルを導入している店舗の場合、約1時間半も作業時間を短くでき、限られた時間内できっちり作業を完了できた。
さらに、トータルで見たコスト削減効果も大きい。段ボール箱に比べ、リターナブルボックスはもちろん単価は高く初期投資はかかる。しかし段ボールの場合、1万5000個必要になるのに対し、リターナブルボックスだと何度も使い回せ、使えば使うほど効果が大きくなる。3回使えば、十分元が取れる計算だ。
「廃棄物ゼロ化で環境貢献できたのに加え、コストも削減できたと、お客様には非常に高い評価をいただきました」と古澤。リターナブルボックスはこれまで主に部材ベンダーと生産工場間の輸送に用いられていたが、今回の成果を踏まえて、生産工場から製品を使用するユーザーへの商品輸送にも適用を拡大したいと意気込んでいる。



営業統括本部 マーケティング部