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「モノが動く仕組み作り」コンサルティングで資材の滞留の解消から製造工程の効率改善まで実現
大手電機メーカーA社では、工場内の資材置き場にモノが溢れかえっている現状に頭を悩ませていた。相談を受けたNECロジスティクスのコンサルタントは、「モノの流れに規則性がなく、モノが動いていない」ことが最大の問題であると分析。資材置き場の2S(整理・整頓)を徹底するとともに、必要なモノを必要なだけ定期的に工場に運んでくるというJIT(Just In Time)での資材搬入を徹底した。これにより「生産に合わせて資材が引かれる」仕組みを作り出したことで、資材置き場でのモノの滞留を一掃したほか、ラインスピードの安定化による生産効率の向上や、物流・製造コスト低減といった効果ももたらされた。


A社は、産業用照明機器の開発・製造を手がけている会社である。そのA社で長年の悩みの種となっていたのは、工場内の生産ライン手前の資材置き場や入荷場など、工場のあちらこちらに、モノが溢れかえる状況が続いていることだった。特に繁忙期には足の踏み場もない状態で、倉庫から搬入した資材の置き場に困るのはもちろん、作業に必要な資材が探してもなかなか見つからず、ラインの稼働に影響を及ぼすこともしばしば。早急に改善を迫られていた。
A社では、資材の滞留を無くすためには、資材物流そのものを全般的に見直す必要があると考え、以前、SCM関連のセミナーで発表を聞き、強く印象づけられていたNECロジスティクスに資材物流の改善業務を依頼することとした。
これを受け、NECロジスティクスのコンサルタントがA社を訪問。工場内や倉庫を見学するほか、実際に現場で作業にあたっている人から何に困っているか意見を聞くなどして問題の抽出にあたった。その結果、根本要因として考えたのは「モノの流れに規則性がなく、モノが動いていない」ことだった。このプロジェクトを担当した、NECロジスティクス プロジェクト推進本部 SCMコンサルティング部 マネージャーの細谷充広は次のように語る。
「日本の製造業の企業のほとんどは、多かれ少なかれJITの考え方を知っています。ただ実際にモノを規則正しく、定時性を持たせて動かすのは難しい。A社様でもそうでした。今すぐ必要なモノとそうでないモノを区別して、規則正しく動かすルールを作ってやればモノは動くんです」
「モノが動く」ようにすることを目指し、物流改善の取り組みが始まった。

細谷がまず行ったのは、まず問題を「見える」ようにすることだった。そのためにどこに何を置くか細かく決めるなど、資材置き場の2Sを徹底した。
「これにより、そこにあるものが本当に必要かが見えてくる。例えば、必要だから工場に運んだと思っていても、実際に使うのはずっと後ではないか、といったことがわかるわけです。中にはすぐにはどかせないものもありましたが、これについても誰がいつまでに撤去するのか張り紙を貼るなどして責任を明確にしました」(細谷)。これだけでまず、資材置き場に溢れていたモノが1/3程度にまで減った。
続いて取り組んだのが、どうやって定期的にモノを動かし、モノの流れが止まらない仕組みを作るかである。この際、キーとなったのが、倉庫から工場まで、2時間置きに定期便のトラックを走らせ、その間に必要な分の資材だけを資材置き場に搬入するルールを決めたことだった。そして、資材置き場には生産計画を張り出し、作業者には30分ごとに、決められた場所にあるモノを決められた順番でラインに運んでいくように要請した。
「それまでは、資材の供給が生産に同期していなかった。それを、『生産に合わせてモノが引かれる』プル型の仕組みに改めたわけです。こうすれば、30分後にはそこに置いてあったものがなくなり、モノが確実に動く。そればかりか、もし30分経ってそこにモノがあるならば、ラインに異常があるか部品に不良があるかということになる。問題が『見える』ため、対策のために人が動けるようになるんです」(細谷)
決して一朝一夕にはいかなかったが、時間をかけてルールの遵守を徹底したことで、徐々に資材置き場には「2時間以内に使用する資材」だけが置かれるように。溢れかえっていたモノは、ほぼ完全に一掃された。そればかりではない。物流のみならず、生産の進捗にあわせてモノをタイムリーに供給できるようになったことは、ラインでの製品生産の流れを改善することにもつながった。
「ライン側としても、2時間おきにしか資材が来ないので、そこだけを見ていればいい。このため、ラインのスピードもほぼ一定になり、いわゆる生産の"平準化"を実現できるわけです。このように、物流を改善することは、広い意味で全体最適を目指すうえでも有効なのです」(細谷)


資材の滞留の一掃、生産ラインの流れの改善といった効果のほかに、コスト面での効果も大きかった。資材置き場に置かれるモノの量が劇的に減ったことから、作業者がモノを探したり、資材が入ったか確認したりするためにラインを離れる時間がなくなり、作業効率が大幅に向上。同じ数のモノをより少ない人員で生産できるようになり、製造コストを削減できた。
また、資材置き場に大きなスペースが必要なくなったことで、そこに新しい製造ラインを設置することが可能に。これにより工場の生産能力が高まり、これまでオーダーを受けきれなかった分を外注に出していたのを自社で生産できるようになったことも、工数やコストの低減につながった。こうした面も含め、トータルでの物流コスト削減は、コンサルティングが始まる前に比べ約20%にも及んだ。
こうした効果をA社でも非常に高く評価。当初、NECロジスティクスからのA社へのコンサルティング提案範囲は、工場、倉庫内の限られた範囲だけだったのに対し、新たに年間でのコンサルティング契約を結ぶことに。調達なども含めた、工場のサプライチェーン全体の精度の向上に取り組むこととなった。以降、毎年、20~30%の工数削減を実現している。
「お客様にとって大切なのは、『物流をどう使うか』ということ。単にモノを置く・運ぶということにとらわれていては効果は限定される。そうではなく、物流をうまく使えば、先ほども申し上げたとおり、生産や調達などサプライチェーン全体の効率を良くすることにもつながるんです。A社様にはその点を深くご理解いただけました」と細谷は強調。そのうえで、「だからこそ、我々物流会社のほうも、"ただ言われたとおりにモノを運ぶ"のでは不十分。ますます提案力を高めていくことが必要になります」と表情を引き締めた。



営業統括本部 マーケティング部